行政院(内閣)主計総処がこのほど発表した「2017年家計収支調査」によれば、台湾における1世帯あたりの年間平均消費支出は81万2,000台湾元(約289万日本円)だった。さらに行政院直轄6市では、台北市(台湾北部)の108万台湾元(約385万日本円)が最高で、桃園市(同北部)の88万台湾元(約313万日本円)が2位だった。以下は台中市(同中部)、新北市(同北部)、高雄市(同南部)、台南市(同南部)の順となっている。
首都である台北市は平均消費支出がトップであるばかりでなく、消費習慣にもいくつかの明らかな特徴があり、例えば公共交通機関の利用や身だしなみ、娯楽での支出が特に多い。
同調査の「交通」項目はさらに、個人で購入した自動車やオートバイなどに関する費用、その管理やメンテナンス費用、公共交通機関のための支出、保険料などに細分化され、「交通」のための消費支出をより正確に把握できるようになっている。
台北市の家庭が昨年自動車やオートバイなどを購入するのに支出した金額は年間平均4,768台湾元(約1万7,000日本円)で、全国平均の1万5,000台湾元(約5万3,500日本円)を大きく下回る。一方、台北市は都市交通システム(MRT=台北メトロ)の路線が密集している他、乗り合いバスや台湾鉄道などの公共交通機関とつながる交通網も整備されていることから、台北市の家庭が公共交通機関を利用するための支出は年間2万4,000台湾元(約8万5,500日本円)と、全国平均の1万台湾元(約3万5,700日本円)の2倍以上となっている。すなわち昨年、台北市の家庭では毎月約2,000台湾元(約7,100日本円)を公共交通機関の利用に使ったことになる。
また、新北市は台北市と同様に、「大台北」(台北市・新北市・基隆市)地区の公共交通生活圏にあることから、昨年、公共交通機関のために支出した費用の平均は1万3,000台湾元(約4万6,300日本円)とやはり全国平均を上回った。1カ月に約1,000台湾元(約3,570日本円)あまり使ったことになる。
台北メトロを運営する台北捷運株式会社が公表している2017年における毎月の輸送量は月によって若干の変動はあるものの、基本的には1日の平均輸送量延べ200万人前後となっている。台北メトロを利用した通勤通学が「大台北」地区の市民にとっての日常になっていることが分かる。
台北市の家庭が昨年、「被服及び履物」に使った費用は年間で平均3万1,000台湾元(約11万500日本円)。全国平均の2万3,000台湾元(約8万2,000日本円)より多く、また、「教養娯楽」は年間平均で8万8,000台湾元(約31万3,700日本円)に達した。この2つの支出は台北市が各県・市の中で最も多かった。台北市の家庭における「教養娯楽」の細目を見た場合、「パック旅行」の支出が最多で5万5,000台湾元(約19万6,000日本円)、次いで「教養娯楽サービス」で約1万6,000台湾元(約5万7,000日本円)だった。「パック旅行」は団体旅行のこと。「教養娯楽サービス」は映画、カラオケ、展覧会、コンサートなど。台北市の家庭はこの部分での支出が比較的多い。収入が多いことによる影響の他、台北エリアでは「教養娯楽サービス」のリソースが他県・市に比べて多いことも関係しているという。